株式会社アイティー

エピソード

EPISODE3 気持ちに寄り添う

その日はいつも以上にたくさんのお客様がご来店され、スタッフ全員がお客様対応に追われていました。そんな中、私は一組のご夫婦の対応をて頂きました。ご主人様のほうは一見して憔悴しきったような感じで奥様もうつむき加減でどこか体調でも悪いのかしらと思いましたが、そのままお二人の機種変更のご案内をすすめました。
今振り返ってみるとその時の私は時間に追われ、対応も事務的になっていたのかもしれません。

EPISODE3/気持ちに寄り添う

とその時、奥様が一台のスマホを取り出しました。伺ってみるとこの端末をご利用されていたお嬢様が先日急逝されたとのことでした。
お使いになられていた電話番号をどうしても残したいとのことでしたので、その内容でご案内をさせて頂くうちに奥様の両方の瞳に涙があふれてきました。私も思わず涙がこぼれそうになるのを必死で我慢しながらご説明しました。
年頃の最愛のお嬢様に先立たれてこのような不条理なことがあるものかとご両親の心情を察すると胸がはりけそうになりました。
ショップにご来店されるお客様のなかには特別な心情でご来店されるお客様もいらっしゃいます。そんな中、その方の心情に寄り添わず、始めは機械的な接客になっていた
帰り際、そのご夫婦が丁寧にお礼を述べられ、お見送りの際に微笑みかけられた姿が、今でも忘れられません。
いつの日かそのご夫婦の心に微笑みが宿ることを願いながら淋しげな後ろ姿に頭を下げお見送りいたしました。

EPISODE3/気持ちに寄り添う

私は今回の事を通じ、いちプロスタッフとして、どんなに忙しい時でもまずはお客様の事を一番に考え、お客様が何を求めているのか、どういった心情でご希望されているのか、もっと心から向き合っていくべきだと改めて痛感致しました。
そして、これからの接客につなげていきたいと思います。